板谷由夏 「役」へと進む散歩道 てくてく脳活性化「アイデアがどんどん流れてくる」

[ 2024年5月5日 05:00 ]

1日1万歩を目標に散歩する板谷由夏
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 【夢中論】女優の板谷由夏(48)の演技を支えているのは散歩だ。歩くことで台本の活字からは見えないものが見えてくる。1999年の女優デビュー以来、最前線で活躍し続ける裏には、演技歴よりも長い“歩み”があった。(山内 健司)

 目標は1日1万歩。仕事現場の近くや自宅周辺などさまざまなコースを、歩数を測りながら練り歩く。ふと見つけたパン屋さんやケーキ屋さんでちょこっと買い物して、リュックに詰めると心が躍る。夜の家事終わりに歩けば落ち着くひとときになる。ロケで地方へ行った時には神社を探して、周辺を探索するのがルーティンだ。

 「実は東京に来てからずっと散歩に夢中なんです」。1996年に福岡から上京して以来、散歩は生活の一部。好きになったきっかけは父親だった。

 「小さい頃からよく父と2人で近所の神社まで歩いていて。思春期も家ではなかなか話せなかったんですが、散歩に行くと進路や部活動の話をすることがありました。そんなことも最近、散歩しながら思い出しました」

 現在は自身が息子2人を持つ母親。「父みたいに散歩好きな男の人になってほしい」と、理想は父と自分のような関係になること。ただ、あまり誘えないのが現実で「男の子は親と歩いても好きにならないかな…」。苦笑いを浮かべる顔は、思春期の子を持つ母親らしさにあふれていた。

 散歩は今年で26年目を迎える女優業に欠かせない。キリッとした顔立ちとは裏腹に、常に自信たっぷりという性格ではない。「役をもらう度に(役として)違う人を知ろうとしないといけない。“大丈夫かな?”と常に不安です」。その不安を拭うのが散歩なのだ。

 脳味噌を活性化させる意味もある。役づくりで重視するのは「せりふを覚える」よりも「役のベースをつくる」こと。「台本を目の前にするよりも、黙々と歩いていると“あの人のせりふや表情はこういうことか!”とスイッチが“バチン!バチン!”と入り、ひらめきやアイデアがどんどん流れてくるんです」

 99年に女優活動を始め、約100本ものドラマに出演。物語に欠かせない人物を数多く演じてきたが、昨年10月期の日本テレビ系「ブラックファミリア~新堂家の復讐~」で25年目にして初めて主演した。今年は16年ぶりのNHK大河ドラマ出演となった「光る君へ」で、藤原道隆の妻を好演。死を迎える道隆と互いに思い合う場面が話題になるなど、輝きを増し続けている。

 放送中のテレビ朝日ドラマ「東京タワー」は、約10年ぶりに出演する恋愛ドラマ。20歳以上も年下の学生と恋に落ちる役どころだ。「年下との恋愛は初めてのシチュエーションなので、“むむむ”とはなりました」。そんな役も散歩しながら役づくり。昨年主演した経験が「主役でもどの役でも、役との向き合い方は変わらない」と学びを残してくれた。用意された役をいつも通り演じ切るのみだ。

 役者の仕事は「スーパーウルトラ受け身なところがある」と謙虚に言う。理由は「作品があって役があって、初めてスタートできる」からだ。思い描くこの先の女優像は「何歳になっても“板谷にこの役やらせたらどうなるか”と思ってもらえるような役者」。そのためには健康第一。「散歩はやっぱ大事ですね」とうなずいた。これからも散歩とともに歩みを続けていく。


 ≪テレ朝「東京タワー」年下医大生と不倫≫テレビ朝日「東京タワー」(土曜後11・00)では、既婚者でありながらも、King&Princeの永瀬廉(25)演じる医大生と禁断の恋に落ちる建築家を演じている。役柄については「“人を好きになっちゃったんだもん”という野性的で自由な女性」と表現。そんな女性を演じることで「人を好きになる気持ちに年齢は関係なくて、いくつになっても素晴らしいということを伝えることができたら」と意気込んでいる。

 ◇板谷 由夏(いたや・ゆか)1975年(昭50)6月22日生まれ、福岡県出身の48歳。高校生の時にモデル活動を始め、96年にNHK教育「イタリア語会話」に出演。99年に女優デビューし、05年の映画「運命じゃない人」の演技で毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。07年から11年間、日本テレビ「NEWS ZERO」でキャスターを務めた。特技は料理。身長1メートル71。血液型O。

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