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「つばさの党」代表ら3人を逮捕 黒川敦彦容疑者、都知事選出馬表明…選挙活動に影響も

[ 2024年5月18日 04:40 ]

 衆院東京15区補欠選挙(4月28日投開票)で無所属新人乙武洋匡氏(48)陣営の街頭演説を大音量で妨害したとして警視庁捜査2課は17日、公選法違反(自由妨害)の疑いで、政治団体「つばさの党」代表黒川敦彦容疑者(45)=埼玉県朝霞市=と同団体から出馬し落選した幹事長根本良輔容疑者(29)=東京都練馬区=ら3人を逮捕した。

 捜査関係者によると、元候補者や陣営が他陣営への選挙妨害を巡って逮捕されるのは、極めて異例。捜査2課は同日、2006年の巨額詐欺事件以来の特別捜査本部を設置した。法曹関係者からは「警察の本気の表れだ」との声が上がった。

 この日、捜査車両に乗せられた黒川容疑者は、報道陣に笑顔の“ダブルピース”を見せた。逮捕容疑は共謀して告示日の4月16日、亀戸駅(東京都江東区)前であった乙武氏陣営の街頭演説中、電話ボックスの上に座るなどしながら拡声器を使い、演説に重ねるように大音量で主張を訴えるなどして選挙活動を妨害した疑い。他に党幹部の杉田勇人容疑者(39)も逮捕。

 警視庁は、告示日の行為が公選法に抵触するとして、同18日に3人に警告。以降も妨害を繰り返していた疑いがあり、今月13日に千代田区の党事務所などを家宅捜索していた。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。

 捜索からわずか4日後のスピード逮捕、異例の特別捜査本部設置について、元検事の亀井正貴弁護士は「選挙の演説妨害は基本的人権にも関わることで、通常は慎重な捜査となる。捜索も捜査本部設置も現場の所轄で判断できることではなく、警察、検察の幹部がゴーサインを出したのだろう」と指摘。踏み切った理由に「妨害行為の多さ、行為の悪質性、警察をあおるような言動、世論の後押しなどがある」と推測した。

 黒川容疑者は東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)への出馬を表明している。だが、今後も別の選挙妨害事案の捜査が続くとみられ、再逮捕の可能性もある。勾留中も「獄中立候補」は可能だが、外に出ての選挙活動はできない。亀井氏は「警察は“都知事選まで外には出さない”と考えているのでは」と話した。

 ≪乙武氏「二度と繰り返されないよう切に願う」≫3人の逮捕を受け、乙武氏は「法律ギリギリの範囲を狙って選挙を荒らしまくり、有権者の聞く権利を奪う悪質な行為が、今後二度と繰り返されないよう切に願っています」と怒りを込めてSNSでコメントした。乙武氏の応援中に妨害を受けた東京都の小池百合子知事も都内で記者団の取材に応じ、「経験したことのない妨害で、身の危険を感じる選挙運動だった。候補者は民主主義の基本を守ることが大事だ」と語った。

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